散歩の秋

落ち葉

 秋が深まってきた。ひところの暑さは何だったんだろうと思うくらい気温が下がってきた。そして、朝夕はめっきり涼しくなった。10月中旬である。むしろ薄寒さを感じる。

 したがって、夏の間早朝だった散歩は夕方に行っている。午後5時半に事務所から帰ってきて着替えをし、運動靴に履き替えて6時前に自宅を出るのである。コースは前と変わらない5,000歩コースの国道の歩道である。

 歩道の脇に植えてある大きな樹木の葉が茶色くなってたくさん落ちている。その葉っぱを踏んで歩いてゆくのである。葉っぱの上を歩くと葉っぱが舞う。

 その葉っぱの中に赤いものがキラリと見えた。樹木の実である。樹木の実が一粒落ちていたのである。キレイだ。思わずしゃがみ込む。つまんで拾い上げる。てのひらに載せて眺める。赤い光沢が鉱物のように光って見える。今が恐らく一番きれいに見えるであろう。まるで宝石である。

 持ち帰って家のものに見せてあげようと、胸のポケットにそっとしまう。そして、なにもなかったように、また、歩き始めた。

令和5年10月17日