キセキノカイフク

青空

不動産屋さんの広告に新築物件、家族物件に並んでペット可物件とある。賃貸マンションやアパートにもペットと一緒に入居することが可能となってきているのである。

世はまさにペットブームの真っ盛り。ペットは人に癒しを与え、その見返りに庇護を受ける。そういう共生関係が基本となっているのである。

ところで、ペットを飼うと決意するとき一定の覚悟が必要である。ペットの一生を最後まで見通すことは難しいのであるが、何が発生するかはわからないが、その一生を引き受けるという強い意思をもつことである。このことを今回の出来事で再認識させられたのである。

我家には室内犬ノーフォークテリアの老犬(16歳)チャーリーとこの8月12日で1歳を迎えるハナがいる。その他に猫のマル(2歳)もいる。共に仲良く暮らしているのだが、チャーリーは白内障にかかり視力を失っている。一緒に暮らしている仲間がどういうものか、分らないのが悲しいことであるが、眼が見えないなりに部屋の中を、あちこちぶつかりながら歩き回り、良く動いている。

若いハナはまだ分っていないが、猫のマルはチャーリーを目の不自由な弱者として認識している様子がみえる。

そのチャーリーがある日突然倒れた。ケージの中でガタガタと音がしていた。トイレに行きたいから騒いでいるのかと思ってケージを覗くと立ち上がれないでバタついていた。慌てて体を起こしてあげたが、右の前足と後ろ足が突っ張ってうまく歩けない。もうすぐ16歳を迎えるというときの突然のできごとであった。素人目にも脳溢血か脳梗塞ではないかと疑われた。

チャーリーそれで急いでかかりつけのお医者さんに運び込んだ。お医者さんも脳に原因があると見て酸素吸入や点滴などを処方し、それを続けた。そうすると次第に症状が緩和してきて、1週間後には元のように歩けるようになったのである。お医者さんも驚く奇跡の回復であった。今は以前のように元気に歩き回っている。

この度のことで犬猫は哺乳類、脊椎動物であり、その病気は人間と同じであることを再確認した。犬の16歳と言えば人間では80歳台、かなりの高齢である。生まれてすぐに引き取り、青年、壮年を経て老年を迎えた。その時々の姿が昨日のように思い出される。老犬となった今、人間同様体調のリスクは高い。

チャーリー犬は歳をとるのが早い。人間の寿命のサイクルに比し早過ぎることを強烈に感じる。これまでに2頭を見送った経験があるが、やはり終末を見送ることはつらい。チャーリーはこれから終末を迎えることになる。そう長いことはないだろうが、彼の人生が安らかに全うされるよう、暖かく見守らなければならない。それが飼主としての務めである。