犬の能力

ハナちゃん

 犬の聴力は凄い。ハナちゃんが散歩から帰った時の足ふき用のタオルが風呂場に干してあるのをとるためにドアを開ける音。そのタオルを洗面所でぬらすために水道を遣う音。この一連の音は1階で発するのであるが、これを2階にいるハナちゃんは聞き取り、これから散歩に行くんだという歓喜の声を発するのである。

 風呂場のドアを開ける音、洗面所の水を遣う音、いずれもハナちゃんに聞こえないように気を付けて音を小さくしてもバレてしまうのである。もちろん、そうする前に散歩につれていこうと思っているのだが、それが分からないようにと、ハナちゃんとは顔を合わせない。

 2階に上がると喜びを爆発させて取り付いてくる。私はなんのことだい、といった風に素知らぬ顔をしていても纏わりついてくる。仕方なくという風情で散歩用のバッグとリードを取り出して、リードを首輪に取り付けることにする。そのときのうれしさの表現といったらないのである。

 これが洗面所のドアを開ける音だけだと喜びの声を発しない。また、洗面所の蛇口の音だけでも同様である。ドアの音の後に蛇口の音がするとこのセットで散歩ということにつながるようである。

 一般に犬の聴力は人の4倍といわれる。また、洞察力も人間に勝るものがあるといわれる。犬の能力は凄いものだ。ペットということであなどることはできない。

 犬は飼い主の意をくみ取るそうだ。言葉を発しなくても考えていることがわかるとのこと。だから、お前はバカだとかダメだなあだとかを考えたり言ったりしてはならないそうだ。叱ることはときには必要だが最小限にして、誉めるときは誉めて誉めて誉めちぎると良いらしい。信頼関係が増すのだそうである。

 そんなわけで、散歩の準備のときは、いかに素知らぬ顔をしていても、私の心の内は見透かされているのである。