なぜ猫はアトゼキしないのか

まる

熊本の方言にアトゼキというものがある。戸は開けたらちゃんと閉めよという、戒めの熊本弁である。そういう言葉のあるなしにかかわらず、当方としては、ドアは開けたら閉めるという習慣にしているのだが、100%そうしているかと問われれば、ウーンと唸ってしまうのも事実。

このところ閉めたはずなのに、居間のドアが開いているということがしばしばあり、不思議に思うことがあった。齢をとると忘れがちになるので、あるいは閉め忘れていたのかと思うのであったが、キツネにつままれたようなこともあった。

まるそんなとき、猫のマル(2歳)が、ドアの取っ手に飛びついて、取っ手を下に引き下げてドアを開けているところを目にした。衝撃であった。そんなことができるのかと・・・。いつの間にこんなことを覚えたのか。

人間がやっているところを見て、見よう見まねでやっているのであろう。猫は頭が良いのだろうか。ペットとして見るとき、そこまで賢いとは思ってもいなかったのであるが、なんともはや、猫の知能の高さに驚いたのである。

しかし、マルはドアを開けることはできても閉めることはしない。ドアの向こうに出たら、体で押して閉めることは物理的には可能ではあるが、それはしていないのである。つまりアトゼキはしないのだ。ペットだからねと思ってもみたが、待てよ・・・と、もう一歩推論を進めてみると、マルは、我々がアトゼキしているところはドアの向こうのことであるから見ていないのだ。だから、アトゼキというものを知らない、だから、アトゼキをしないのだ、という考えに到達したのである。

猫にアトゼキを求めるのは無理なことかも知れないが、猫の知能は2、3歳の子供に匹敵するとの説がある。そうであるならばアトゼキを教えれば良いのだ。そうしなくても我々の仕種を見てするようになるかも知れない。

アトゼキする猫はおもしろい・・・。