猫も氏素性は争えぬ

猫

 氏素性は争えぬというが、猫にも言えそうだ。

 当家には猫が3匹いる。家に来た順にマル、シュウ、ランである。

 マルは子猫のとき拾って家猫にした。シュウは大分の飼い主から貰ってきた。ランは野良だったのを家猫にしたものだ。それぞれ三者三様で当家に来た状況は異なっている。

 振舞い方については、猫は猫だから同じだと思っていたのであるが、注意深く見てみると、オヤと思う事がある。

 まず第一が歩きかたである。肉球があるから普通は歩く音はしないのであるが、階段を降りるときシュウはドタドタと音を立てて降りてくる。だから、シュウが来たと分るのである。マルやランはそういうことはない。シュウは生まれたときから家猫だった。警戒心が薄く音を立てても平気なのであろうか。

 当家では水のやり方に3系統ある。一つは噴水式の水飲み場を用意している。もう一つは手洗い場の床に洗面器に水を張って置いておくというもの。噴水式はマル、シュウが使っているようだが、洗面器はランだけが使っている。野良の時代には水はどこで飲んでいたのであろうか。ご飯にしても水にしても厳しい状況であったに違いない。その習性が残っているように思われる。ランはカラダを触られるのも嫌がり逃げる。家猫なのにいつまでそうしているのだろうかと気になる。マルとシュウは全くそういうことがない。ランは野良の習性が抜けないのである。

 シュウは水を飲むとき食堂などの水道の蛇口のところに口を持ってくる。栓をひねってくれと催促するのである。蛇口から直接水を飲むのである。これは贅沢である。

 これらを見ていると氏素性は争えぬということを強く感じるのである。