賢い猫

賢い猫

 我が家には3匹の猫がいる。長男マル、次男シュウ、長女ランである。シュウは子猫のとき大分からもらってきたのであるが、マルは子猫のときランは大人になってから、野良から当家の猫になったのである。従って、マルとランは外で遊んだ記憶がある。

 今彼らは一日を室内で過ごしている。感染症などのことを考えると外に出すことは出来ないのである。かわいそうであるが外には出せないのである。

 彼らは1階や2階の窓から外をじっと眺めていることがある。外に出たいのであろう。外で遊びたいと思っているのであろう。特に大人になってから家猫になったランは、その気持ちがひときわ強いようで一人外を眺めているのをよく見かける。それを見ると憐憫の情がふつふつと湧いてくるのであるが、詮方ないことと思い定めている。

 最近はマルが玄関近くにたむろすることが多くなった。家人が玄関を出入りするとき隙あらば外に出ようとするのである。だから、外から家に入るときなどドアを開けるときは、細目に開けてマルがいないか確かめて、いるときは声かけて離れさせてから入るのである。

 そういう風にしているので外へ出ることが難しい。そう判断したのかしれないが最近になって今度は自分で玄関ドアを開けようとする行動に出てきたのである。玄関ドアのノブは重たいのであるが、そのドアノブにジャンプして手をかけて開けようとするのである。しかし、ドアが重いのでノブが少しぐらい動いても開かない。もっともいつも鍵をかけているので開きようがないのであるが、マルの挑戦には恐れ入る。マルちゃんそこまでするのかよ、と心底驚いてしまう。

 マルは前に書いたことがあるが、家の中のドアをほゞ全部開けることができる。外に出たいという強い欲望とドアを開ける技術が織りなして、このような状況になったのであろう。極めて合理的な思考である。

 本当にマルは賢い猫であると思う。