痒いとこないですか

理髪店

昔、タモリが床屋さんでのやりとりを、面白おかしく言っていたことが思い出される。

髪を洗ってもらっているとき「痒いとこないですか」と聞かれることについて「背中が痒い」と応じたらどうなんだろうね、ということ。当然、床屋さんは洗っている頭のどこかに洗い残しているところがあって痒くないかと聞いているわけで、それに対する答えになっていない、すれ違いの面白さを楽しんでいる訳である。

ネットで調べてみると、意外とこの手の話題は多いので、痒いとこないですかという問いに戸惑いを感じている人は多いものと感じられる。

小生も、月に一度は床屋さんに行くが、この問いを浴びせかけられて複雑な感覚に陥ることがある。髪の毛は一所懸命洗ってくれているのだが、指先は頭皮には届いていないので痒い感じが残るのである。痒いのだが恥ずかしくて言えないのである。

洗う方は一所懸命に洗っているだろうに痒いところを残すことがあるのかねえ、自分の仕事に自信がないのかねえ、ちゃんと洗っているのなら敢えて聞く必要はないだろうにとも思うのである。

根本的なことであるが、痒く感じるのは頭皮であって髪の毛ではない。髪の毛には痒みを感じる器官はないのである。頭皮は洗っていないのであるから、頭皮が痒く感じられるのは当たり前のことである。

こういうことは業界でちゃんと対処しないのかねえ、曰く、髪を洗うときは頭皮もしっかり洗えと、頭皮を洗ってこそ痒いとこないですかとなるのである。

まあ、こういうことを考えたりするのは、ヒマな頑固オヤジだねえ、とつくづく思う。どうでもいいことを取り上げて、ああでもない、こうでもないと考察する、典型的なオヤジ思考だなあと辟易しながら、今回はこれで良いかと筆を置く次第である。