
厳しい寒さの中に春の到来を待ち望むさまは、古来よりいろいろなものに表現されてきたところである。春は気候が緩やかになってくると同時に、農作業の始まりをもたらすもので、立春大吉という言葉はそれに近いようなものであるように思う。
一方、厳しい暑さが続く夏に秋の訪れを待つさまも、それに劣らず日本の風物詩として、確かなものとなってきている感じがしてならない。
近年、夏の到来に恐れを感じるようになった。40度を超える日が発現してくるようになったのは、いつのころからだろうか、遠い過去ではない。ついこの前のことである。
歳を経るにつれ暑さが身に滲みて感じられるようになり、熱中症が喧伝されるようになってきたこともあり、暑さに恐怖を覚えるようになったのである。
梅雨が明けて太陽が厳しく照らすようになると、酷暑の始まりである。毎日厳しい日が続くのである。そうなると秋の到来を待ち望む気持ちが出てくるのである。梅雨が明けるのが7月10日前後であるから、それから9月中旬まで何日辛抱しなければならないのか。数えれば70日くらいである。この70日が早く過ぎていくよう望み願うのである。そして、1日過ぎるごとに秋まであと何日と指折り数えて夏を過ごして来た。
今年は、8月末から台風が続いて来ている。そのおかげで秋の訪れが早くなったようである。今日は9月6日であるが、最高気温が30度を下回っている。涼しいのである。恐ろしい暑さが遠のいたことに安堵し、暑さがぶり返して来ないことを祈っている。
春を待つ冬、秋を待つ夏。いずれも同じような風情である。しかし、その切実さたるや、ここ九州では、夏の方が強いように感じられる。夏の厳しさが冬の寒さを上回っているように思えるからである。それは今が初秋であるということを除いても、そう感じるものではないだろうか。
令和8年9月7日


