茶 筒

茶筒

 もの持ちが良いというか、品物の耐性がよいというか、当家の茶筒は永持ちしている。お茶を入れるたびに、これは古いものだなあと感じるのである。

 いつ頃手に入れたのかわからないのであるが、かなり古いことは現物を見ればわかる。買い替えたような記憶もない。結婚以来ずっと使っているものなのである。ひょっとしたら独身の頃買い求めたものかもしれない。

 毎日最低1回は使うものであるが、そうなると、もう数十年使っていることになる。その間1回も壊れていないのである。ブリキのような金属でできており、外側を桜の木の皮で巻き、梅の花木を彫刻してあるのである。

 取得当時は値段が高かったんじゃないかと思うが、どのくらいだったか記憶にない。あるいは結婚祝いにもらった物かもしれない。とにかく、永持ちしているのである。

 朝は紅茶を飲む。夜煎茶をいただくので、ほゞ毎日茶筒を開けたり閉めたりしているのである。適度に使用することが耐用年数を伸ばす要因になっているのかもしれない。

 これだけもつと製造者側としては、新しい需要が出てこなくて困るのではないか。良い商品を造ることはよいことだが、経済学的には適度に壊れなければいけないのではないか、などと思ってしまう。

 永年使ってきて、茶筒にお礼を言わなければならない立場であるが、このような不埒な感慨を覚えた次第である。

令和7年8月29日