進みゆく復興

熊本地震

「やあ、お久しぶりですね。」自宅に帰る道の途中で車を止め、窓を開けて声を掛けた。その人は黒い大きな犬を連れてむこうから歩いてきていた。あの時のままだ。

うちのチャーリーが白内障を患いながらも、今は亡きミントと家の近くに散歩に出ていた。今から3年程前までのことである。その同じ散歩道にその人も黒い大型犬を連れてきていた。そこで互いに言葉を交わす間柄になっていたのである。

その後、ミントが亡くなりチャーリーも足が弱り、当方が散歩に出なくなると出会うこともなく、すっかりその存在を忘れてしまっていたのである。

久しぶりに会って話をすることで、その人は地震で自宅が半壊したこと、それを壊して建て替えたこと、しばらくの間引越をして仮住まいであったこと、最近やっと散歩に出てきたということを知った。

それで、このところ散歩されているところを見かけなかったのかと腑に落ちた次第であった。

震度7の地震があったのは去年の4月14、16日である。拙宅は軽傷で済んだが被害が大きかったところもたくさんあるのだ。家を建て替えざるを得なかった方々に対しては、誠にお気の毒と言わざるを得ない。

あれから約1年、その人が自宅を建て替えることができたことは良かった。それにしても大変なご苦労をされたに違いない。近所では未だにブルーシートをかけたお宅や、解体して更地のままだったり、これから建築が始まるお宅を目にする。

震源に近いところでは、この機に道路拡張計画があり、事業をされていた方々は、先行き不安でおられることをニュースで知った。そのため取り壊しただけというところが多い。

あれから1年を目前にして、散歩をしていたその人にお会いし、少なくとも私の近所では復興が進んできていることを身近に感じた次第である。