税の世界の脱ハンコ

印鑑

 政府は新型コロナウイルス禍を受けて、社会のデジタル化、脱ハンコを進めている。

 税の分野では、確定申告などの税務手続きで押印の廃止を検討することとし、2021年度の税制改正に向けて作業し、年末にまとめる与党税制改正大綱に盛り込むこととしている。

 現在、電子で申告や納税をする場合、電子署名によることとされているが、これを更に納税者の利便性の向上に向けて検討をしていくということのようである。

 現在、税務手続きを行う際には国税通則法で押印が必要とされているが、国は押印不要とする決断をするのであろうか。

 そうしたとき、税の世界では税理士が代理をすることが多い。この場合はどうなるのであろうか。税理士が税務代理をする場合は税理士法で、納税者のハンコとともに税理士の署名押印が必要とされている。

 それは、書類を作成した税理士のその責任を明らかにするためとされているのであるが、納税者のハンコは省略されるとしても、税理士のハンコはどうなるのだろうか。

 利便性の向上という観点と税理士の責任を明らかにするという観点から考えてみると、責任の明確化が押印なしでも担保されるという判断がなされれば、税理士の署名押印も不要となるであろう。

 そうなると、税理士業界においてはかなりの利便性の向上につながる。その場合は税理士法の改正も必要となり、暮れの税制改正大綱には税理士法改正も入ってくるはずである。 年末が楽しみである。