ペットの甘え

マル

我が家には、室内犬1匹と猫2匹がいる。いずれも家人に懐いていて、人とペットで一家をなしているというか、一つの群れを形成している。

人と犬猫は姿形こそ違え、その行動様式はよく似ている。ふと気が付けば、ペット達を人間として見ている自分に気がつくこともあるのだ。

また、お腹が空いたとき、喉が渇いたとき、散歩に行きたいときなどなど‥。その心理状態はよく分かる。

ペット達には噴水型の水場を設けている。犬猫共用である。特に猫は水を飲まないと腎臓の病に罹りやすいと言われており、そのため水を身近に備えておく必要があるということで、猫用には更に洗面所に水を張った洗面器を置いている。いつでも飲めるようにしているのである。

シュウ

1日の仕事が終わり、家に帰り着いたとき、猫のマル(ペットの中では一番長くいる)が玄関に現れ、お帰りと身を寄せてくる。「ただいま」と声をかけると「ミヤー」と返す。そして、洗面所の方に促すように身を向けて「ミヤー」と声を出す。「マルちゃん、水かい?」と声をかける。洗面所には水が置いてあるのにと思いながら一緒に行き、そこにある洗面器を持って口に近づけると、匂いを嗅いだだけで顔を背ける。ああ、これは飲まないかと、水を捨てて新しい水を入れてやると飲むのである。

1日経過した水は飲まないのか、あるいは、置いた水は飲まないのか、それにしても、喉の渇きが強くなれば古い水であっても、置いてある水であっても飲む筈である。まして、器を持って飲ませないと飲まないということは、どういうことか、甘えである。マルはそしらぬ顔をしているが甘えているのである。

人とペットの間柄での甘えは、種の垣根を越えて気持ちが通じ合えているという証左である。ペットを飼う醍醐味。

飼い主としては、こういうところに、ウキウキするような幸せを感じるのである。